人事・労務管理

労務管理とは、企業経営の3要素(  ヒト・モノ・カネ  )の3要素のうち、ヒトを有効に活用するための管理活動を言います。しかし、労務管理に必要な最低基準を定めた労働基準法ですら、守れない会社はたくさんあります。
理由としては、労働法についての知識がないとか、関心が薄いとか人件費を抑制したいとか、様々あると思います。これでは従業員のモチベーションが上がらず、会社に対する不信感や不満を持って働くことになり、会社の生産性は上がらず、労使トラブルが頻発する可能性も高まります。そしてトラブルの先には、労働基準監督署に駆け込まれ、膨大な時間と労力、金銭負担、そして精神的な負担も負うことになります。労務管理を怠ることは、会社にとって、マイナス効果でしかありません。


1.労務管理の目的

労務管理を行う本来の目的は、人材を有効に活用して、労働生産性を向上させ、会社の利益を上げることにあります。つまり、法令を遵守する職場環境を構築し、組織全体のモラールを高め、従業員の能力を有効に発揮させ会社の労働生産性を向上させようというものです。また、ルールを明確にすることで、会社と従業員との信頼性も高まり、急増している労使間のトラブル発生の予防につながります。

2.労働管理に関するポイント

特にご相談が多い退職のうち、「解雇」および「契約期間満了による雇止め」について説明させていただきます。

 

【解雇の種類】

普通解雇…やむを得ない事由の発生による使用者側からする労働契約の解除
整理解雇…人員整理の必要性に基づく労働契約の解除
懲戒解雇…従業員本人の責めに帰すべき懲戒処分としての労働契約の解除  
                                                 

【上記以外の退職の種類】

 合意退職…自己都合、退職勧奨    
 契約期間の満了…契約期間満了、休職期間満了  
 定年退職…65歳までの雇用確保措置を義務化(高年齢者雇用安定法改正)

 

解雇の定義

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 (労働契約法16条)

 

   ①普通解雇( 労働能率の不良、能力不足による解雇 )                     

    解雇の有効性を判断する基準は、その程度や解雇回避努力および手続きといったことが問題になります。 
 

  ■能力不足等の程度について

 1.就業規則の解雇事由と整合性がとれているか
 2.事業運営に支障をきたす程度なのか
 3.他の従業員と比べてどうか

■改善のための指示命令・指導の有無について

 1.具体的に問題点を指摘し、教育指導を行っていたか         
 2.従業員自身が問題を認識できていたか                              

■解雇を回避するための措置について

 1.職種または雇用形態の変更、配置転換もしくは退職勧奨等の解雇回避努力を先行したか       

■慎重な解雇手続が必要

1.従業員に解雇理由を事前に説明しているか
2.解雇予告を1か月程度の余裕をもって行っているか

 

②整理解雇 (企業経営の合理化によって生じる余剰人員の整理)

整理解雇について、これが有効と認められるためには、下記に掲げる「整理解雇の4要件」と呼ばれる一定の要件を満たしている必要があります。整理解雇を実施するまでの間に、人員整理の必要性、時期・規模・方法等の具体的内容について、会社は従業員に対して十分な説明をし、誠意をもって協議・交渉を行わなければなりません。

整理解雇の4要件

   1. 人員整理の必要性
   2.解雇回避の努力 
   3.整理解雇対象者選定の合理性  
   4.整理手続きの妥当性

                                                                                                                                                                            

➂懲戒解雇( 懲戒処分としてなされる解雇 )

懲戒処分としてなされる解雇です。有効性の判断基準として、下記の要件を満たしているがポイントになります。


    1.懲戒処分の根拠規定が存在するか
    2.懲戒事由に客観的かつ合理的な理由があるか
    3.処分の相当性
    4.就業規則に懲戒処分についての条文を詳細に記載しているか
    5.会社にどれだけの実害を与えたか、与えそうか
    6.懲戒解雇を言い渡す前に、本人に弁明の機会を与えたか


 ④雇用契約期間満了による雇止め
    契約期間満了による労働契約の終了については、必ずしも理由が必要なわけではありません。契約の更新をせずに
    雇用期間を終了する為には、期間が満了する前に契約を更新しないことを労働者に伝えなければなりません。
   この期間満了をもって契約の更新をしないことを「雇止め」といいます。しかしながら、それまでの更新の実態か
     らみて、期間満了による更新拒絶に対して制限が加えられ(「労働契約法19条」)、雇止めが認められない場合が
     あります。有効性の判断基準としては、下記の要素がポイントになります。


 1. 仕事の内容は正社員と比べて( 基幹的か・恒常的か )、役割は正社員と比べて 補助的かまたは臨時的か
 2.雇用契約時等に継続雇用を期待させる言動や認識があったか
 3.同様の地位にある他の労働者の雇止めの状況はどうか
 4.契約更新の回数や勤続年数はどのくらいか
 5.契約更新の手続き( 手続きの有無・時期・方法 )をきちんと行っているか
 6.契約更新の判断基準の説明を行っているか
 7.契約期間満了日の少なくとも30日前までに、更新しない旨を予告しているか
  (「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」)

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